Bee's Favorite

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シアターライブ「真夜中に犬に起きた奇妙な事件」

【Bee's check point】

■外国の舞台劇を見ることができるなんて、シアターライブはすごい。
■主役のクリストファーのセリフが膨大で、本当に舞台なのかと驚く。

(見たのは2016年2月)

映画と音楽のライブは結構行くんですが、お芝居はどうも苦手でほとんど行きません。
あの物音ひとつ立てちゃいけない雰囲気がだめで、飲食禁止だしなんか疲れちゃうんですよね。
疲れるのは私にとって娯楽とは言えない。

でも、映画館でロンドンの芝居が見られるというのと、演出がすごく面白いというのにひかれて、
私にはずいぶん敷居が低いかな(英語だけど)と思い、
「夜中に犬に起きた奇妙な事件」というのを見てきました。

原作も知らず(有名らしい)、俳優も知らず(英語なのに)、
でも最後まで(3時間もあるのに)まったく飽きずに見てしまいました。

15歳の自閉症の少年クリストファーが主人公で、
彼は数学には天才的な能力を見せるのですが、人とうまく付き合えない。
夜中に近所の家の犬が殺されて、その真相をクリストファーが探るという話なんですが、ミステリーではない。
(基本、お芝居の話って単純)

演出が本当に変わってて面白い。
中央に長方形の舞台があって観客はその周りにいるのですが、
そのただの長方形がいくつかの四角い椅子と、床で点滅するLEDの光、
プロジェクションマッピングや音声システムや出演者(といっても10人くらい)の動きによって、
家にでも近所の様子にも、ロンドンの地下鉄にもなる。

本当にめまぐるしく場面が転換して、話がどんどん進むんですが、一瞬でそこがどこだかわかるんです。
今まで見た舞台装置とか、幕の転換とか、なんだろうと思うくらい。
後半に難度の高いジャンプを跳んで、
スローな場面でも細かいステップで魅せる気を抜くところのない羽生結弦君のスケーティングみたいな舞台でした。
本の中のストーリーを、どういう発想でこういう風に変換できるのかと、ただただ驚き。
クリストファーのセリフも膨大で、彼はほぼずっと舞台の上にいます。

英国ではオリビエ賞を、アメリカではトニー賞を取った舞台だそうで、
日本ではV6の森田君がこの主役をやって好評だったそうです。

字幕はありましたが、15歳の子が一生懸命に話す言葉なので(英語なんだけど)けっこうわかっちゃったし、
最後の力強いメッセージがとても響いてびっくりしました。

劇中、クリストファーが難しい数学の問題を解くシーンがあるんですけど、
彼がどうやってその問題を解いたかは、カーテンコールの後でクリストファー自身が説明してくれます。
直角三角形の何とかを証明する問題。
原作でも、それはあとがきでちゃんと証明されてるそうで、そこまで表現されていました。
ちんぷんかんぷんだったけど(それは英語のせいじゃないし)。