Bee's Favorite

映画、絵画展、コンサート、本、日々の感想。

高御座と御帳台

年末から、天皇陛下即位礼に使われた高御座と御帳台が上野の国立博物館で公開されていて、
年末のうちに見物に行ってきました。

11月には皇居の大嘗宮も見てきましたが、
1時間くらい並んでようやく見たせいか、
やっと大嘗宮を目の前にしても、「へぇ~、これかあ」というくらいの感想だったが、
高御座と御帳台は、東博の入り口を入ってすぐのところに神々しく並んでいて、
思わず、「わぁ~」と声が出てしまいました。

白木の大嘗宮ではなく、金と漆の巨大な御座のほうに感動するなんて、
私もまだまだだなと思いましたが、
まあ、素直に、絢爛豪華で壮麗なこの工芸品には驚きました。

第一に思っていたより(テレビで見たより)かなり大きかったこと。
周囲にあの装束で歩くことができることを考えれば、これくらいの広さがあって当然なのですが、
高さは予想以上でした。

そして白木の大嘗宮とは対照的な、漆黒の柱、
気の遠くなるような細かい細工の金の飾り。
天頂にそびえる金の大きな鳳凰
御帳台の上の鳥は尾がカールした、鸞(らん)という瑞鳥なのだそうだ。

中にある御座は、あの衣装でちゃんと座れるのかと思うくらいの椅子があり、
高御座には、三種の神器を置くための台がある。

f:id:yoonabee627:20200103124133j:plain
高御座

f:id:yoonabee627:20200103124212j:plain
御帳台

平成になったときは、これが公開されたのかどうか記憶にないが、
今回、華やかで明るい雰囲気の中で即位礼が行われ、これが一般に公開されたこと(しかも無料)はとてもありがたい。

私の人生で御代代わりは2度めだが、これを見るのは本当に一生に一度になると思う。
いや、見にいってよかった。

大嘗宮では、日本の神道の本質みたいなものを見ることができたが、
高御座と御帳台は、世界で一番古い皇室の権威と伝統を目の当たりにした。
確かに、中国っぽいところ、朝鮮っぽいところが随所にみられるが、
工芸技術の粋を尽くしながら、決して金満に見えないところが日本らしい。

ここにお座りになる方は、やっぱり一般大衆とはちょっと違う方なのだと、改めて実感しました。

f:id:yoonabee627:20200103124845j:plain
高御座の背後

ガラス張りの展示室ではあったが、2つの台座を三方から見ることができた。
天皇陛下皇后陛下が歩かれた床にも、美しい織物が敷かれていて、
レッドカーペットなんていうものがすごく安っぽく感じられるほど。

入り口でもらった冊子は、カラー刷りで美しく、難しい細工の名称やら由来の説明が書かれている。
皇后陛下がお座りになる御帳台は、大正天皇即位の時に作られたものだそうで、
つまりそれ以前は、天皇の妻が隣に並ぶという慣例はなかったということ。
明治維新で、西洋にならって「正妻」が隣に並ぶようになったということだ。
高御座より少し小ぶりで、飾りも控えめ。

妻というものが夫と並び立つことさえ、長い皇室の歴史で、ここ100年の出来事なのだと改めて認識する。
皇室のこうしたものにもいつか、男女平等とか、LGBTとかいうものが反映される日が来るのだろうか。

男女平等の延長線上で女性天皇を推すのはどうかと思うし、
なんかいろいろ儀式とか大変そうなお役目だから、それは男にやらせておけばいいんじゃないの?と思ったりする。

(私は、よその家が、長く守ってきたその家のやり方を、他人がどうこう言うのは違うと思っているので)
天皇家は、これまでにもいろんな危機があったと思うけど、それを乗り越えたからこそ、今があると思うので、
いずれどうにか良いようになるのでは、と思っている。

それはともかく、ご即位以後、雅子様の顔つきがとても柔和で穏やかになっていることにほっとする。
この椅子に座られて、不安がぬぐわれてそういうお気持ちにもなれたとしたら、
それはそれで、神々しいことではある。